老健の施設数と利用者にについて
厚生労働省の「平成27年介護サービス施設・事業所調査の概況」によると、介護老人保健施設は同年において全国に4189施設あり、26年に対して93施設増えました。また、1施設当たりの定員は87.9人、開設(経営)主体は74.3%が医療法人でした。経営母体の約4分の3が医療法人という現況から、病院が自施設の退院患者の受け皿の1つとして老健の経営に乗り出していることが推測されます。また、報酬面の優遇を背景に在宅強化型および在宅復帰・在宅療養支援機能加算型の施設が増加傾向にあることも、近年の特徴として挙げられます。全国老人保健施設協会「介護老人保健施設の現状について」(平成26年)によると、在宅強化型は平成24年4月から25年10月の間に54施設から94施設、在宅支援加算型は166施設から239施設に増えています。一方で、入所者の内訳にさほど変化はなく、介護依存度の高い入所者が多い傾向が続いています。前出の厚労省調査によると、平成27年の老健入所者は要介護3が24.2%、要介護4が26.9%、要介護5が19.4%であり、全面的な介護が必要な入所者が4分の3近くを占める状況は数年来変わっていません。要介護3以上の入所者比率が他の介護保険施設(介護老人福祉施設/同年89.5%、介護療養型医療施設/95.7%)よりも低いのは確かなのですが、在宅復帰を目指す施設ではあっても、実際には要介護者の生活支援のための施設として機能しているのが老健の現状といえます。