今後の求人動向について
介護老人保健施設の施設数は年々増え続けていますが、医師の配置は基本1施設に1名であるため、求人が今後、急速に拡大することはまず考えられません。2017年で廃止するとされていた介護療養型医療施設の老健など介護施設への転換があまり進まず、廃止期限が2020年まで延長されたことも、老健の求人動向に多少なりとも影響するのではないかとみられます。
さらに長期的な視野から、老健の求人競争率が高まるという予測もあります。現在政策として進められている病床削減により療養場所が病院外に移行すると、必然的に医療提供の場が介護保険施設や在宅の訪問診療などに移ることとなり、それに合わせて医師の求人内容も変化するという見方ができるからです。このため、老健の求人は「売り手市場」がしばらく続くと予想できる上に、勤務が規則正しく身体的な負担が少ないにもかかわらず給与待遇が比較的良いことから定着率も高いだけに、より「狭き門」になっていく可能性が高いと思われます。
また、男女の平均寿命の違いから老健の利用者は全国的に女性の比率が高いため、今後は女性医師の施設長のニーズが高まるとの見方もあります。
老健の施設長は医師資格者が望ましいとされており、基本は常勤医師が兼任するのですが、必ずしも医師でなければならないわけではありません。ごく少数ですが、医師以外の職種の方が施設長を務める老健も中にはあります。施設長となる医師は現状では男性が大半なのですが、「女性の健康状態や病気の原因究明や管理は、同性の方が適している」という理由から、女性医師の就任を期待する気運が高まってきているからです。