老健医局 在宅・訪問医局

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老健医局

診療スケジュール

老健での大枠の役割について

リハビリ運動

介護老人保健施設での医師の役割は、第一に「入所者の健康管理」にあります。

主な業務としては回診、栄養管理、感染症対策などが挙げられます。

なお回診は週に1回(月に4回)、午前か午後に回診を行うのが一般的です。それ以外の時間帯は、自室で書類の記載などを行うケースが多いようです。

診察時には、入所者の健康状態だけではなく、施設における生活スタイルや生活環境の適性などのチェックも目的としています。

栄養管理は、回診や常日頃の交流を通じて得た入所者の心身状態情報をもとに、「食事指導」の形で行われます。感染症対策については、胸部X線撮影や血液検査などの定期健康診断やインフルエンザの予防接種勧奨などが主な業務となります。また、入所者個々の主治医と連携し、服薬や検査等の情報共有を図ることも老健医師の重要な業務の1つです。その他、リハビリや看護ケアの指示なども老健医師が担う役割となります。

なお近年は、介護報酬改定の影響などもあり、老健が担う医療に変化が見られます。「所定疾患施設療養費」(肺炎・尿路感染症・帯状疱疹の施設対応について、所定条件を満たした場合に算定できる加算)の創設がその代表例です。2012年の介護報酬改定で同加算が加わった後は、それらの疾患治療を目的とした医療機関への転院が全国的に減少しています。入所者の医療ニーズへの要望を受けて、「施設内対応」が近年の老健における医療の流れとなってきているのは確かです。

老健で働く魅力、やりがい

医師にとっての介護老人保健施設勤務の魅力は、第一に「時間的拘束や身体的な負担が病院勤務よりも少なく、規則正しい生活が送りやすい」点にあります。症状が安定している要介護者の健康管理やリハビリ指示が主業務のため残業がほとんどなく、当直配置が義務付けられていないことなどにより、そうした勤務環境が得られるのです。

仕事のやりがいとしてはまず、病院勤務ではなかなか身につかない介護関連の専門知識を習得できることが挙げられます。また、入所者と日常的に相対することで仕事の成果を肌で感じられることも、老健医師のやりがいといわれています。実際、利用者ごとに立案したケアプランなどにより入所者の機能が回復していくのを見守ることにやりがいを感じている医師は多いようです。ちなみに、平成25年度「介護老人保健施設の管理医師の有効活用による医療と介護の連携の促進に関する調査研究事業」では、老健に対する家族の満足度は高いと報告されています。「大いに思える/67.3%」と「やや思える/21.3%」を合わせると約9割の家族が老健に満足していると答えており、家族からの感謝も老健医師のやりがいとなるのは間違いないでしょう。

勤務する医師像

体力的にハンデのあるシニア層の医師や仕事と家庭(家事や育児など)を両立させたいと考えている医師、プライベートを充実させたい医師など、さまざまな志向の医師から人気があります。

医業の視点からは、「総合診療医」的な力量が求められる一方で、施設の目的である「在宅復帰」を支えるリハビリテーションに対する知識や技術は不可欠となります。

また、2006年に認知症短期集中リハビリテーションが老健に導入され、09年には対象が中等度・重症患者にも広がりBPSD(認知症の行動・心理症状)改善を目的としたリハビリが提供されるなど、認知症ケアの重要度が増していることから、認知症の管理能力も問われるようになってきています。

ちなみに、全国老人保健施設協会「介護老人保健施設が持つ多機能の一環としての看取りのあり方に関する調査研究事業報告書」(平成24年)によると、老健で施設長を務める管理医師で最も多い診療科は内科(55.3%)、続いて外科(22.8%)、精神科および産婦人科(4.8%)となっており、総合診療医的な仕事内容からも内科医が有利な面があるといえますが、幅広い科目の医師の活躍が増えてきているのも事実です。

認知症の診療が得意な精神科、全身管理を得意とし開業の道を選ぶ医師が少ない麻酔科、救命救急科なども活躍をしています。高齢者に多い、泌尿器や皮膚科の先生が就任をした場合には、専門分野の手厚いケアが喜ばれるケースもあります。

プライマリケアの臨床経験が豊富な元開業医の先生が、生涯現役とQOLの両立を求めて、閉院後に就任をするケースも珍しくありません。

施設長として求められるビジネス感覚

また、施設長を務める老健医師は、病院経営者や開業医とは異なる意味において、経営的な能力も必要となってくるでしょう。その主な理由は、医療機関との制度上の違いにあります。基本出来高払いの医療機関の診療報酬とは異なり、老健の収入は介護保険により賄われ、介護報酬は包括払いとなっています。このため処置や検査、投薬、注射は介護報酬に包括されており、重篤な緊急治療や「所定疾患施設療養費」請求の対象となる肺炎、尿路結石感染症、帯状疱疹以外の医療行為は、介護報酬が請求できないのです。この点は老健運営の課題の1つといわれており、老健医師は入所者の身体状態を健康に保つ努力を続けながら、一方で施設持ち出しとなる処置や検査等を極力抑えて経営を安定させるための手腕が問われるのです。なお、医療法人経営の老健には主に病院併設と独立型の2タイプがあり、特に独立型は経営的手腕がより重要となります。